年収1,000万円を超えて感じたこと

過去から現在に至る道程と旅行の話

学生時代の友人との別れ

ガレキの山

僕は中学3年で不登校になり、高校も1年生の夏休みまでしか通っていないため人よりも学生時代が短い。なので学生時代の友人はとても貴重だ。しかし2人いた中学からの友人の1人とは36歳の頃に関係を絶つ事にした。一緒にいてもストレスが溜まる事が多かったからだ。

成長しない友人

読書家

彼の一番の特徴として、とにかく漫画が大好きで週刊誌を7冊、月刊誌も2冊購入。それ以上かも知れない。お気に入りの作品は単行本も購入するので、ものすごい勢いで漫画誌が増えていき壁のように積み上がっていた。おまけにライトノベルも好きだった。

当然ながら、僕が遊びに行っても会話をするでもなく、彼は本ばかり読んでいた。話しかけても『ん?なんか言った?』と言われる事が多かったし、テキトーに流すように『ウワハハハハ』と乾いた笑いを返してくれた。

人の話を聞かない

彼に忠告は無意味だった。なにしろ人の話を聞いていないので「このギョーザ熱いから少しずつ食べた方がいいよ」と言っても、一口で食べて『あっつ!あっつ!』というような人だった。右だと言うと左に行くし、左だと言うと左に行った。とても困った。

収集癖とオンラインRPG

彼には収集癖があった。カードゲームのカードも床に山積みになっており、僕が足を引っ掛けてカードを崩してしまったところ、『あ~種類別に分けてたのに~』と怒られた。

シムシティなどのエンディングの無いゲームも大好きだった。終わり無くずっと遊んでいられるからだ。そしてオンラインRPGと出会った。終わりが無い事に加え、定期的に新たなシナリオやアイテムが増えたりして、彼を飽きさせず、彼が求めるものを常に満たし続けてくれる存在だった。しかも部屋から出ずとも友人も作れるのだ。

彼は僕が遊びに行っても会話をするでもなく、漫画を読みながらチラチラとオンラインRPGの画面を確認していた。

そして彼は言った。『ごめん、仲間に呼ばれたから今からゲーム内のイベントに参加するわ!』と、僕は完全に"いない人"という扱いを受けた。

僕は彼の部屋に"生身の人間"として存在していたが、何だか良く分からない画面の向こうの仲間とやらを優先されたようだった。僕は帰る事にした。

愛煙家

彼はヘビースモーカーで服からはタバコの臭いがしていた。コーヒーも好きなので口からはドブのような臭いがして近くで会話をするのが嫌だった。彼の部屋の壁は黄ばんでいたし、結露した窓には茶色い水が垂れていた。

彼は吸殻を捨てるのを面倒がって、吸殻を捨てずに新しい灰皿を買って来て使っていた。室内には吸殻で山盛りになった灰皿がいくつもあり、コーヒーの空き缶にも詰まっていた。灰皿ではすぐ一杯になってしまうと学んだのか、ある時期から"金たらい"を使うようになった。吸殻で埋まっている金たらいを両手で持ち上げると重かった。

タバコの空き箱もそこら中にあるので、今吸っているのがどれか分からなくなり、箱を振ったりして中身が入っているのを探し当てていた。

外では当然、歩きタバコ。吸殻は排水溝やマンホールの穴に捨てていた。道路上の見える所に捨てなければそれで良いのだろうか。

ゴミ部屋

タバコの吸殻もそうだが、つまり彼は部屋の中のゴミを出さなかった。仕事と漫画を買いに行くときくらいしか部屋を出たがらないので、遊ぶ時は仕方なく彼の部屋に行った。わりとお節介焼きで綺麗好きな僕は彼の部屋を度々掃除していた。

積みあがった漫画やライトノベルの周りには弁当ガラ、コーヒーなどの空き缶、微妙に中身の残ったペットボトル、紙パックのジュースが散乱し、窓際に置きっぱなしのカップの中にはモフモフのカビが生えていた。タバコの灰も舞い上がったりするためマスクと軍手を付けて掃除をした。コンビニ袋の中には何だか嫌な臭いのするティッシュもあった。

最も部屋にゴミが貯まっていた時で、黒いゴミ袋に換算して燃えるゴミが13袋。燃えないゴミが7袋になった。ちなみに彼の部屋は6畳だ。寝床は押入れでドラえもんのようだった。何年も洗っていない布団は茶色かった。

彼はゴミ部屋に住んでいたが、本屋で平積みの本を買う時は必ず2冊目から取っていた。"一番上の本は色々な人の手垢が付いているから嫌"なんだそうだ。

僕は出かける前にシャワーを浴びて身を綺麗にしてから人と会うが、彼の部屋に行く時は出かける前にシャワー。帰って来てからもシャワーでタバコの臭いの残った服も着替えていた。

実家暮らし

彼は30代半ばになっても実家暮らしだった。変わった事にご両親の事をそれぞれ『チチオヤ』『ハハオヤ』と呼んでいた。親に部屋を片付けろと言われると『うるせぇ、勝手に入るなっつったろボケッ!』と悪態をついていた。

お酒

僕はお酒が大好きだが、彼は僕と一緒の時はあまりお酒を飲まなかった。しかし、どうやら会社の飲み会の時にはお酒を飲んでいるらしい。会社では空気を読んでいるのかもしれないが、僕と一緒の時にも多少は付き合って欲しかった。おそらく気を遣わなくていい間柄だから無理に飲まなくていいと思っていたのだろう。だが、余所では気を遣って、僕には気を遣ってくれないというのは面白くないものだ。

年末の大みそかのような特別な時でも、彼は僕といる時はお酒を飲もうとしなかった。

食べ物のこだわり

  • 焼肉は塩で頼んでも必ずタレに漬けて食べる。「それ塩だよ?」と言っても無駄だ。
  • お好み焼き屋では、一回で全部を焼いてみんなで分け合うのではなく、自分が食べる分だけを焼く。つまり一つの器の中身を3回くらいに分けて焼く。
  • ラーメンを食べる時は右手しか使わない。最初はハシで麺だけを食べてスープは飲まない。麺が完全に無くなってからハシを置いてレンゲに持ち替えてスープを飲む。(漫画が好きなので漫画が置いてるラーメン屋を選ぶ。すぐに漫画を取ってくるので会話は無い)
  • つけ麺屋でスープ割りを頼む時は『スープ割りください』と口に出さず、無言で器をカウンターに出す。
  • 目玉焼きの黄身は食べずに捨てる。1つじゃ足りないので卵を2つ使った目玉焼きを焼いて黄身を2つ捨てる。(「もったいないから卵焼きにしたら?」と言うと『目玉焼きの白身が好きなんだ』と言われた)

心無い発言

  • 東日本大震災の時は、被災した現地の人達の心配よりも、『うわ~、ジャンプがいつも通りに出なかったらイラつくんだけど~。』と言った。自分では1円も寄付していないが、TVで見る芸能人の寄付金の額を比較して『こいつケチだな~』とも言っていた。
  • 一緒に披露宴に参加した共通の友人に子供が生まれた時に出産祝いを贈ろうと話をしたら『いやいや、急にお祝いをあげたら、貰った方も迷惑かもしれないからやめておくよ。』と意味不明の理由で断られた。
  • 僕が真剣に悩んで色々と電話で話をしたら『クソして寝れば忘れるって。』と言われた。

振り返って

僕は成長し続ける事が大好きで、日常に変化を起こしたくない彼と過ごすのが苦痛になっていた。おそらく彼の方も苦痛だっただろう。

自己啓発の本ではよく周囲の人間の影響が語られているが、彼から受けていた負の影響はどれほどだろうか。彼と離れてからはストレスが無くなったし自分の事を頑張れるようになった気がする。

こうして書いてみると、どうして20年以上も友人だったのかと思うが、学生時代の彼は僕の自慢の友人の1人だった。僕と同じ帰宅部なのにスポーツが得意で、マラソン大会で3位に入るような人だった。川で釣りをしたり、外でバスケやサッカーをしたり。活発な少年で、部屋に引きこもるような人間じゃなかった。大人になってからも僕の自慢の友人でいて欲しかった。

人間だれしも快適な空間・人生のスピードがある。彼は今も漫画を読んで笑っている事だろう。

 

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