年収1,000万円を超えて感じたこと

過去から現在に至る道程と旅行の話

ITエンジニアの思い出

IT業界で働く中で、色々なエンジニアがいた。思い出に残る人達について書いてみる。

話を遮るな!

課長

一番最初に入った現場にいた、隣のチームの課長。違う部署なので普段関わる事は無かったが、若くて切れ者でちょっと怖い感じの人だった。
ある日の事、その課長と隣の席の人が会話をしていた。そこへ近づき、会話を遮って話しかけた人がいた。誰でも話を遮られるのは良い気はしないと思う。話を遮られた課長は『今、話しているのが分からないのか!人の話に割り込むほどの大事な内容なのか?』と怒鳴った。
話しかけた方はバツが悪そうに去って行った。僕は違うチームで良かったと思った。

しばらくして、自分のチームの課長が休みの時に、その課長に代理承認を貰いに行く事があった。僕は課長の近くまで行き、相手がこちらに気付いて話を聞く体制になってから静かに話しかけた。
「代理承認を頂きたいのですが、よろしいでしょうか。」

 

今でも人の会話に割り込んで話しかける事は無い。本当の緊急事態の時でも、近づいて相手が聞く体制に入るまで待ち、気づいてもらえないような時は無言で軽く右手を挙げて、相手が『何?』と聞いて来てから話しかけるようにしている。

この課長のおかげで人に話しかける時にはとても気を遣うようになった。

 

たまに『今、話しかけても良いでしょうか?』と言う人がいるが、既に話しかけている矛盾に気が付いていないのだろうか。

顔を洗って来い!

課長

一番最初に入った現場にいた、自分のチームの課長。笑ったところをあまり見た事が無かった。当時の僕は、まだIT業界に入ったばかりだったので覚える事も多く、難しい用語や複雑なシステムなどの理解で脳を酷使したため、気が付くと居眠りをしている事が多かった。
おそらく何度も居眠りをしていたのだろう。課長が正面の席だった時に『起きろ!顔を洗って来い!』と怒られた。これは100%僕が悪い。

現場を抜ける時に課長と話をした。
『現場を抜ける人にアンケートを取っている。もし職場や人間関係などで問題があれば今後改善していくので、ざっくばらんに語って欲しい。』と言われた。

僕は正直に、現場には全く問題が無く仕事内容にも満足している事、しかし自分の会社の給料が安いので他の会社に移る事を伝えた。

課長は『ウチは結構払っているんだけどなー。』と笑った。僕の会社はたくさん受け取っているが、僕に払う給料は少な目にしているという事だろう。

最後に課長の笑顔が見れて嬉しかった。

問題児

問題児

メールの書き方も色々だが、中には宛名や「お疲れ様です。」などの前置きも無く、敬語も使わない人もいる。馴れ馴れしいし、下品に感じて好きにはなれない。

そういう人と会議をする機会があった。
大して仲が良い訳でもなく、上司でもないただの同僚だったが、名前を呼び捨てにされ、話し方もいわゆるタメ口というやつだった。
僕はハッキリと言った。
「友達でも上司でも無いので敬語を使ってくれませんか?その話し方では、どれだけ正しい意見だとしても耳を貸す気にならないです。」と。
今の僕なら、最初からそういう人とは関わらないようにするが、当時の僕はまだ未熟だった。

敬語の使えない彼は会議中に立ち上がり、僕の所へ来て今にも殴りかかろうとしていたが、会議に参加していた他の社員が彼を止めてくれた。
彼は現場でも短気を起こして何度もクビになっている問題社員だった。

実は僕は、殴られるのを望んでいた。何人もの人が見ている前で暴力沙汰を起こせばさすがに彼も会社にいられなくなると思ったからだ。

彼は後日、謝って来た。好きにはなれなかった。

異なる視点

チーム

"宝くじに2回当たってお金持ちらしい"という噂の人が会社にいた。
何でも東京まで新幹線で通っていて、週末は都内のホテルに家族で泊まっているとかで、働かなくても食べていけるという話だった。どこまで本当かは分からないが。
失礼だがお金持ちには全然見えなかったし、話し方も少し気持ち悪い感じの人だった。彼のような人でもお金を持っていれば結婚出来るんだな、と思った。

月に1回、それぞれの勤務状況を報告する自社会議の場で僕は、「今の現場は仕事の進め方の効率が悪く、2人×1チームで済む作業を、2人×2チームで作業をしているため時間を持て余す事もあって非効率なので改善したい。」という話をした。

宝くじの彼は「現場が4人分のお金を払っているのなら、それは4人でやるべきだ。」と反論してきた。
その時の僕は、非効率な方を良しとする彼の事が全く理解出来なかった。

僕は仕事は効率的に進めるべきだと考えていたし、特にIT業界ならなおさら効率にこだわるべきだと思っていたからだ。"パソコンではなく、紙と鉛筆を使いましょう"と言われたような気持ちだった。

だが今思い返すと彼は違う視点、つまりSES(System Engineering Service)としての考えも含めての発言だったのかもしれない。
言葉が不足していたから僕には伝わらなかったが、人数が多いほど利益になるという意味での発言だったのかもしれない。

彼は会議中にブツブツと独り言も多く、やっぱり好きにはなれなかった。

変わらない人

リーダー

自社のリーダーだった人がいた。5人のメンバーのうち僕ともう1人はまだ2年目。個性的なメンバーをまとめてプロジェクトを進めるのは大変だったと思う。彼は自社や現場の信頼も厚く、いつも笑っていた。

ある朝、僕が出勤すると机で突っ伏して寝ていた。徹夜だったのだろう。赤い目をしていた。彼は辛い状況が続いても愚痴は吐かなかった。何度かランチもご馳走になった。
エンジニアとしても優秀だったので、この人とずっと一緒に働いて多くの事を学びたいと思っていた。

しかし、僕は自分の都合で会社を辞めざるをえなくなり、リーダーは平日ではなく、わざわざ休日にプライベートの時間を割いて送別会を開いてくれた。

 

あれから7年が経過していた。新しい現場に入るためにロビーのソファーに座って担当者を待っていると、聞き覚えのある声の人がビルに入って来た。彼は僕から少し離れたソファーに座り同行者と話をしていた。仕種や笑い方、以前と変わっていない。あの時のリーダーだ。

僕は彼に声をかけようか迷った。向こうは僕を覚えていないかもしれない。話しかけたかったが勇気が出なかった。少しすると彼は行ってしまった。

僕は心の中で「貴方のおかげで今でもエンジニアとして頑張っています。ありがとうございました。」と伝えた。