年収1,000万円を超えて感じたこと

過去から現在に至る道程と旅行の話

年収960万円の飲み会

タクシー

2016-2017年 39-40歳 フリーランスSE 年収960万円。

収入が増えて年収1,000万円が見えてきた頃、『人脈を広げるためだ』という建前のもと社外でも色々な会に参加し、誘われるがままに友人や同僚と飲みに出かけた。

頼まれた仕事は断らない、飲みの誘いも断らないのが恰好いいと思っていた。たとえ当日の誘いでも即OKだ。出来るやつほど飲み会にも参加すると妄信していた。

どのくらい飲みに行っていたか

なので、週に2,3回は飲みに出かけていた。1軒あたりは4,000円くらいの店でも、3軒ハシゴすれば1万円を超えてしまう。飲み代は半年で37万円に達した。今では安易に口外しないが、当時は調子に乗っていたので、自分の年収をすぐに周りの人に話していた。そうなると、成行きでおごる事も多かった。

キャバクラやガールズバーなど全く興味は無かったが、付き合いで行かざるを得ない時もあり楽しんでいるフリをしなければいけないのが本当に苦痛だった。二度と会わないと分かり切っている人との浅い付き合いは嫌だった。軽々しく連絡先を聞いてくる人達も全く理解出来ず、深夜のタクシー代も無駄に感じていた。今から思えば、お金だけではなく、時間も無駄にしていたと思う。時間だけは増やせない。

不愉快な思い

壊れたレジ

繁華街に出かける機会が多かったので呼び込みも迷惑だった。友人と話している最中に話をさえぎってくる呼び込みに怒りを感じ、”話かけるな"と言ったら喧嘩を売られた。その日は事なきを得たが顔を覚えられてしまったのか、その後も同じエリアに出かけるとその呼び込みが喧嘩を売ってきた。そのエリアを避けるようになった。

飲み会で同じ職場の同僚に喧嘩を売られたこともあった。僕は遅刻も欠勤もしない人間だが、その同僚は毎月4,5回は病欠していた。1年で5~60回は当日欠勤するのだが、なぜかクビにならず周りの人間を頻繁に飲みに誘っては、飲んだ翌日に自分だけ体調不良で休んでいた。

その同僚に『お前、大した知識も持ってないよな。休まないのがそんなに偉いのか?』と喧嘩を売られた。僕が何かを言うよりも先に一緒に飲んでいた他の同僚が『休んでばかりいるあなたより偉いに決まっているでしょう!』と言ってくれた。喧嘩を売ってきた同僚は、ふてくされてタクシーで帰って行った。そして翌日から2週間休んだ。とても迷惑な話だ。

浮かんだ疑問

ある日もまた、友人に無理やりガールズバーに連れて行かれて何もない空間を見つめながら考えていた。年収1,000万円の人間って、どういう人間なんだろう。何にお金を使って、どんな生き方をしているんだろう。するべきだろう。収入が増えたら飲みに行ける回数が増えるだけか?そうじゃないだろう。もっと有意義な事にお金と時間を使うべきじゃないのか?

二度と会う事もないガールズバーの女の子と1回500円でワニワニパニックをやっていてはダメなんじゃないか。変わらなきゃいけないんじゃないか。そのためにはどうしたらいいんだろう。このままでいいのか。不愉快な思いをして、さらにお金まで払うのか。僕は何のためにお金を稼いでいるんだ。本当にやりたいことはなんだ?頭がぼんやりとして答えは出なかった。

そんな僕の前に

七色の光

どこからともなくゴキブリが飛んできた。周りいた友人と女の子は驚いて立ち上がり逃げたが、カウンターの明かりで透き通る羽根が七色のガラス細工のようにも見えるゴキブリを僕は椅子に座ったまま、ただ綺麗だなと眺めていた。

しばらくすると、ボーイさんがおしぼりを持ってきてゴキブリを捕まえていった。戻ってきた女の子は『冷静だね。全然怖くないの?』と僕に聞いたが、"最悪な気分を我慢して、ずっとここに座っている訳だから今さら怖い物も嫌な物も無いよ"とは、さすがに言えなかった。

そしてお会計

友達は帰りたがる僕を面白がって、わざと2回も延長をした。支払は2人で7万円だった。僕は1軒目の居酒屋でけっこう飲んでいたので、ガールズバーではお茶しか飲まなかった。

呼び込みに喧嘩を売られ、2度と会わない女の子にお酒を飲ませてワニワニパニックで500円。飛んで来たゴキブリが綺麗でお茶しか飲んでいないのに7万円だ。

この日の出来事は僕に大きな転機を与えた。笑顔で話す僕の目は笑っていなかった。