年収1,000万円を超えて感じたこと

過去から現在に至る道程と旅行の話

年収960万円の卒業~前編~

卒業

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 2016-2017年 39-40歳 フリーランスSE 年収960万円。

時給制で働けば働くほどお金になるので、思わず頑張り過ぎてしまった。時間の大切さに気づき人生を楽しむ事にした。

お誘い

今の現場に入り2年が過ぎていた。やりたい分野の仕事をやれているので不満は無く、人間関係にも特に問題は無かった。時折、イライラさせられる人はいたが、そういった人は数か月で契約終了になっていったので長くストレスが続く事は無かった。現場への不満といえば、朝や昼のエレベーターが行列になる事。通勤に片道1時間かかる事くらいだった。

ある時、元々社員としていた在籍していた会社の社長から「君が得意とする分野のエンジニアは少ないから狙い目だと思う。新しく子会社を作るので社長にならないか。未経験者を雇って一から育てよう。教育は頼む。案件はこちらで探してくる。」という話をされて、その気になった。

お世話になっている社長からの依頼だったので、『力になりたい』と即決した。

温度差

すぐに教育カリキュラムを作った。
自分が過去に受けた研修内容や新人時代に苦労した事などを思い出し、現場で役立つ知識と資格の取得を含めた数か月のスケジュールを作成した。

参考書も自費で購入して読み込み、プライベートの時間を使って色々な資料を作成して週に一度の打合せの場で具体的な話をした。しかし、僕の熱意に対して社長の方では資料などを1つも作って来たりはせず、僕一人だけが頑張っているような気がして、社長の熱意は全く感じられなかった。

停滞

停滞

実は社長の会社は伸び悩んでいた。長く在籍している人間もいたが新しく入った社員が定着せず、ここ数年は社員数が横ばいだった。アプリ開発の会社ならば少人数で作ったアプリでも多くの人が購入してくれれば莫大な利益となるが、エンジニアを派遣して1人1人の売り上げから利益を得るSESというサービス形態の会社では社員数が売り上げと直結する。つまり売り上げを増やすためには社員数を増やすしか無かった。

社長の会社は設立から7年で社員数は20人。SESとしてはかなり成長が遅い会社と言えるだろう。勢いのある会社なら7年で100人を超えていてもおかしくないのではないだろうか。

原因?

社員が増えない理由に心当たりがあった。確かに給与も良いとは言えなかったが、それ以上に会社のオフィスが関係している気がしていた。最寄り駅は東京でも有名なターミナル駅だが、会社が入居しているビルは居酒屋などが並ぶ繁華街の裏路地。レンタルオフィスの一角だった。

現場が決まらないエンジニアが自社で過ごす事もあるが、6人ほどが座るとかなり窮屈に感じる部屋で、社員全員は入れないし、くつろげる感じでもなかった。社長は『社員が増えたら引っ越す』と思っていたようだが、僕は逆じゃないだろうかと考えていた。

つまり、社員を増やしたいなら先にオフィスを大きくするべきでは無いかと思っていた。飲食店やエレベーターにたくさん人がいるのを見て、入るのを控えた経験は誰にでもあると思う。本当はあと数人入れるとしてもだ。"ちょうどぴったり"よりも少し余裕のある方が居心地よく感じるものだ。

先ほど書いたような社員がどんどん増える勢いのある会社は成長期には毎年オフィスを引っ越す事もあるだろう。しかしこの会社のオフィスは大きくならず、よって社員数も増えなかった。僕にはそう思えた。

教育方針の違い

教育方針

僕はたとえ現場を1か月休んでも自分自身で未経験者の教育を行おうとした。しかし社長は教育内容を撮影した動画で自習してもらい、不明点をメールなどで質問してもらうというやり方を考えていた。その方が効率的だと考えていたようだ。

僕としては、そのやり方だと人間味が感じられず、新しく入った社員から見ても"この会社でなくてはならない理由(※)"というのが感じられないのではないかと思ったが、既に他の分野で動画での教育をスタートさせており、同じやり方で進めたいようだった。

(※システマチックにして人間味を無くすと、応募者から見て待遇面だけが判断基準になる。そして待遇面では大手に比べて分が悪い)

余談

ちなみに第1弾の動画で講師を演じた社員は退職した。当たり前だが会社の利益が増えないと何年いても給与は上がらず、社員が増えないので昇進も無い。IT業界の人間にとって30代は大きく飛躍できるチャンスの時期でもある。1年でも無駄には出来なかっただろう。彼は古株のメンバーだったが、結婚を機に奥さんと子供の事を考えて退職を決意した。有名な外資系企業に転職した彼は年収が倍になった。

決裂

新しい会社の経営や教育に関して全て任せると言ったわりには社長は色々と口を出して来た。困ったのが研修の進め方だ。

僕は「基礎研修⇒資格取得⇒現場で実務」という流れで考えていたが、

社長は「資格取得⇒現場で実務⇒基礎研修」と考えているようだった。

未経験者が資格を取得するにしても分からない事がたくさんあるだろうし、資格を取得できるほど学習して現場に出た後なら基礎研修は不要な気がして、明らかに順番がおかしいように感じた。

さらに『A分野で教育のやり方は分かっているから。』とも言われたが、僕が得意とするB分野でも同じやり方で通用すると思っているのだろうか。というか、もし社長のやり方が正解だとしたら社員は定着しているはずではないだろうか。

やはり社長は社長で7年間それなりに経営してきた自負もあって、作られた固定観念を取り払う事が出来ないのだと思った。

僕はこれ以上は時間の無駄だと思い、新会社を作る件は辞退する事にした。喧嘩をした訳ではなく、あくまでも社長を立てるために『やはり僕は社長の器ではありません。急に自信が無くなりました。』と穏やかに伝えた。

『現場を1ヵ月休んで無給で研修を担当したい』なんて言ってくる人間が世の中に何人いるだろうか。それも月収80万の人間がだ。

そんな思いを汲む事が出来ないなら、今後も社員を繋ぎとめる事は難しいだろう。

 

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