年収1,000万円を超えて感じたこと

過去から現在に至る道程と旅行の話

フリーランスSE 年収800万の壁

壁

客先常駐型のフリーランスエンジニアとしての仕事を数年続けていれば月収70万(年収840万)くらいにはなる事が出来る。だがここに1つの壁があるらしい。

なぜ壁を越えられないのか、理由を探る。

エンジニアA

僕が正社員時代に出会った年下の友人で、フリーランスなのに月収40万しか貰っていない人がいた。商流に何社も入っていたため、本人の取り分が少なかった事が原因だった。

アップ、アップ

その後、僕がフリーランスになって使っている会社に移籍したところ月収が60万になり、さらに次の年には70万になった。
年収にして240万アップ、翌年には120万アップだ。紹介した僕も嬉しく思った。

800万の壁

しかし、年収800万に達したところで彼の成長はストップしてしまった。「75万(年収900万)の仕事で空きがあるよ」と言っても「80万(ほぼ年収1,000万)の仕事で空きがあるよ」と言っても『今の仕事の区切りが悪いので』と、毎年アップしていた頃の勢いが嘘のように話に乗って来なくなった。

結婚した影響も大きいのかなと思う。

嫁ブロック?

フリーランスは基本的に交通費は自腹なので、高い交通費を払って郊外に住むよりも、中心部へのアクセスの良い駅に住んで交通費を家賃に回した方が通勤時間も減るし楽になる。しかし彼は奥さんの都合で郊外の駅に住まざるをえなくなった。

家が遠いので飲み会の後も帰るのを面倒くさがり、繁華街のサウナなどで寝て翌朝は替えの下着を買って出勤するという事が多かった。終電後にどうしても帰らなくてはいけない時は高いお金を払ってタクシーを使っていた。出費につぐ出費だ。

郊外に住む事になった理由を聞くと、奥さんの親が「家を買ってやる」と言ってお金を出しくてくれる事になっていたそうだが、実際に生活を始めてみると「節税になるから」という良く分からない理由でローン代を家賃として払わされる事になったらしい。

『自分で家賃を払うならもっと職場に近いところを選んだのに』と、会うたびに彼は愚痴をこぼすようになった。

嫁ブロック?(別のSE)

奥さんが原因で郊外に住む事になったパターンは他にも耳にした。

違う現場の同僚で、やはり家が遠くて大変だという人がいた。一度は都内でも立地の良いマンションを見に行ったらしいが、購入する直前で奥さんの「やっぱりやめよう」という一言でキャンセル。実際に購入したのは奥さんの実家に近いところ。中心部から離れた郊外になったらしい。

『あの時にキャンセルしなければ、毎日2時間半もかけて通勤しなくて済んだのに。往復5時間。本当に人生の無駄遣いですよ。』と彼は疲れ切った顔で言った。

エンジニアB

もう一人、僕より年齢が一つ上の彼も月収70万だった。

800万の壁

いつも勉強をしていてIT資格も次々と取得しているようだったが、7年近く同じ現場で働いていた。僕の経験上、現場を変えずに収入を上げる事は容易ではない。しかし、家族がいれば子供の成長につれて支出は増える。奥さんの意向で子供の教育にも多くのお金をかけており、手残りは年々減って余裕はあまり無い様子だった。

自分ブロック?

彼にも「75万の仕事で空きがあるよ」と言っても「80万の仕事で空きがあるよ」と言っても『まだ早いので』と、断られてしまった。彼も40歳を過ぎているので、僕は早すぎるとは思わず、むしろフリーランスエンジニアという立場であと何年働けるものだろうかと自分の姿を重ねて心配になった。

そう考えると一刻も早く動き始めた方がいいと思うのだが、彼は動かなかった。チャレンジしないなら、何のためにお金と時間をかけて資格をいくつも取得しているのか。僕には分からなかった。

不平不満

また、仕事を紹介してくれる社長に対しても良い感情を持っておらず、常に愚痴を言っていたので、"嫌なら他へ移ればいいのに"と思うのだが、そんな気は無いようだった。

こうなると、フリーランスの良さを放棄しているように思う。

組織に所属していながら、それを批判したり、反抗するのは理解出来ない。納得いかないのなら抜ければ良いのだ。

校則が気に入らないなら学校を辞めればいいし、会社が気に入らないのなら辞めればいい。自分に自信があれば、1つの組織にこだわる必要は無く、思いのままに飛びまわる事が出来るはずだろう。

身の軽さがフリーランスのはずだ。

エンジニアC

もう一人の友人は、元々は月収60万だったが現場を移るタイミングで70万になった。年収にして120万のアップだ。その結果、生活は楽になったのか。

いや、油断した彼は中古の高級スポーツカーを買った。

新幹線通勤

彼は子育てを理由に奥さんの実家があるという地方都市に住んでおり、都内へは新幹線で通勤していたので定期代に毎月14万円を払っていた。さきほど上の方でも書いたがフリーランスは基本的に交通費は自腹だ。

月収60万から定期代14万を引くと残りは46万円。そこから税金などを差し引くと手残りは30万台だろう。それならば、新幹線代を負担してくれる会社で正社員として働くのと変わらないかもしれない。同じSEでもサラリーマンよりフリーランスの方が収入が増えるが、その良さが無くなってしまっているように思えた。

通勤時間も片道2時間半かかっていた。

本人は座っていられるから苦にならないと言っていたが、1か月で100時間。1年だと1,200時間を失っている事になる。"時は金なり"という言葉もあるが、彼はむしろ"新幹線通勤している自分"という特別感を誇っているように見えた。

自分ブロック?

確かに地方都市の方が子育てには良いのかもしれないが、地方に住むからこそ車も必要になり余計にお金がかかるという事もあると思う。自腹で14万円の定期代を払うのであれば、その分を家賃にあてれば23区内でもかなり良い物件に住めるはずだ。

通勤時間も30分~1時間程度になり、車も要らなくなって家族と過ごせる時間も増えるのではないか。しかし彼は「子供が大きくなるまでは」と家族で東京に引っ越す事は考えられないようだった。

僕は、むしろ子供が小学校や中学校に入って地域との繋がりが出来てしまうと簡単には引っ越せなくなると思ったし、SE仕事は圧倒的に東京の案件が多いということであれば、早いうちに東京に移った方が良いと感じた。実際に、案件を探す時も住んでいる場所が遠い事を理由に断られる事も多いという。

選べる案件が少ないと収入面でもワガママを言えなくなるし、現場で嫌な事があっても抜ける事を躊躇してしまうかもしれない。フリーランスは仕事を選べることがメリットの1つだと思うが、それを狭めてしまうのは、やはり自分の首を絞めているように思えた。

800万の壁

そんな彼が年収が120万アップした結果、購入したのが最初に書いた中古の高級スポーツカーだ。独身ならば良いのかもしれないが、奥さんも子供もいて定期代に14万払っている彼がスポーツカーを購入。僕は思わず天を仰ぐような気持ちになった。

彼の生活がキツそうだったので『現場を移って収入アップを狙ってはどうですか?』とそそのかしたのは僕だ。まさか、こんな結果になるとは思っていなかった。

彼にも何度か仕事の話を振ったが、心の中では"収入がアップしても、また虚栄心を満たすようなお金の使い方をしてしまうかもしれない"と思ったし、勤務場所の関係で家の遠い彼には仕事を紹介しづらかったし、彼も話に乗って来なかった。

1年が経過して、調子の悪いスポーツカーを修理に出すと高額な見積もりで驚き、通勤には別の軽自動車を利用。今では月に1度乗るか乗らないかだという。

思うこと

僕が出会った3人のフリーランスの話をしたが、僕が思うに年収1,000万の人が少ないのは年収800万くらいになると、"これで十分"と自分や家族を理由にブレーキをかける人が多いからだと思う。

"安定・停滞を望むフリーランスって、ちょっと不思議だな"と僕は思った。